電気自動車(EV)は本当に環境にやさしいのだろうか?

2023年12月25日

こんにちは、車好きの たか爺です。

今日は、電気自動車(EV)がエンジン車に比べてどのくらい環境にやさしいのかということについて、少し勉強したのでこれについて纏めてみたいと思います。(電気自動車にケチをつけるつもりは毛頭ありません)

私は今年の春に、燃費が良い「ハイブリッド車」を購入しましたが、それは単にガソリン代が安くつくという理由だけではありません。
燃費が良いということは同じ距離を走っても燃料の消費量が少ないのでその分二酸化炭素排出量が少ないわけで、それによって地球温暖化防止に少しでも寄与できればという思いもありました。

 ぼくは電気自動車です
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電気自動車(EV)は本当に環境にやさしいのか?

今回のハイブリッド車の購入にあたって、地球温暖化防止という点では走行時に二酸化炭素を全く排出しない電気自動車(EV)も念頭にはありましたが、電気自動車がかなり高価であり現段階ではまだ充電ポイントが少ないこと、充電に時間がかかることや航続可能距離が短いなどのデメリットと、それ以上に「EVは本当に環境にやさしいのだろうか?」という大きな疑問があったので購入車種の候補には入れなかった。

その大きな疑問とは、電気自動車は走行時には二酸化炭素を排出しないということは理解できるが、走行に使う電気を発電する際の発電所での二酸化炭素排出量はどのくらいあるのか、また、エンジン車と違って相当大きなバッテリーを積んでいるがこれを含めてクルマの製造に係る二酸化炭素排出量がエンジン車と比べてどうなのかということです。

クルマの生涯CO2排出量の算定・比較

走行中の二酸化炭素の排出量のみを基準にして、環境に優しいかどうかを判断しても良いのだろうか?

最近、自動車の環境性能は「WTW」という、燃料や電力の製造段階を含めクルマの利用から廃棄までの全ての二酸化炭素排出量を反映することが議論されているそうです。
※ WTW とは Well-to-Wheel の略で、以下の説明を参照ください
Well-to-Wheel とは -( Wikipediaへリンクします)

今年3月に九州大学で開催された日本LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)学会研究発表会において、エンジン車とEVの二酸化炭素排出量の算定という試算が発表された。
これは、工学院大学と車両メーカー・マツダとの共同研究で、次のような内容であった。

EVがエンジン車より生涯CO2排出量が多い!

その発表によると、クルマの生涯走行距離を20万kmと想定し、WTWによる二酸化炭素(CO2)排出量を算定したところ、日本の場合走行11万kmくらいまではEVの方が生涯CO2の排出量が多く、11万km以上では逆転してEVのCO2排出量がエンジン車を下回るが、EVのバッテリー交換を想定した16万kmでバッテリー交換をして乗り続けると再びEVの方がCO2排出量が多いと結論付けています。

EVがエンジン車よりCO2排出量が多いという結論に、驚く人が多いのではないでしょうか。
この試算には車の製造段階から燃料の製造、電気の発電、走行、保守管理、廃棄・リサイクルされるまでのCO2排出量が評価に含まれているそうです。
ただ、データなどの開示は無いので詳細な内容は分かりません。

電源の構成比によってCO2排出量が異なる

上記の算定に「日本の場合」とありましたが、国によって総発電量の電源構成比が異なり、日本の場合は現在8割ほどが火力発電に依存しているので発電に係る二酸化炭素排出量は非常に多い。
原子力や再生可能エネルギーの活用が多くなればCO2排出量が少なくなるわけで、全てこれに依存できるとすれば電気自動車の生涯CO2排出量はガソリン車の約半分になると試算されている。

外国では以下のように算定されました。

欧州の場合:
再生可能エネルギーや原子力の活用が進む欧州では、序盤でのCO2排出量はエンジン車の方が少なかったのが7万km強でEVが逆転し、そのままEVの方がCO2の排出量が少ない状態が続いた。

豪州の場合:
総発電量のほとんどを石炭火力発電に依存するオーストラリアでは、EVの生涯CO2排出量が最初から最後までガソリン車より上回った。

というように、電気の発電方法によって二酸化炭素の発生量が異なるのでそれによって算定結果も変わってくることになる。

また電気自動車の大部分は大きなバッテリーで構成されており、その製造にかかる原料の採掘や製錬などで大量の温室効果ガスが発生するのでバッテリー交換をすればCO2排出量が一挙に増える計算となっている。

発電方法別にCO2排出量の多い順に並べると、石炭火力発電>石油火力発電>LNG火力発電>太陽光・風力発電>原子力発電>水力発電となっているそうです。これらの発電方式にはメリット・デメリットがあり、組み合わせて使われているのが現状です。
※ 下記に関西電力のページを貼っておきますので参照ください。

CO2排出量の少ない発電方法(関西電力のホームへリンクします)

 

国によってエネルギー政策が異なり、それによって発電時の二酸化炭素の排出量が異なっている。
以上の報告などを見る限りでは、二酸化炭素排出量の一番少ないと言われる地域においても電気自動車(EV)はまだ環境に優しいとは言えないと思う。
火力発電に依存している割合が多い日本においては更に優しくないのが現状であろう。
二酸化炭素排出量の少ない発電方法にシフトしていくことで電気自動車が環境に優しい車になれるのである。

日本のエネルギー基本計画は

日本の近い将来の電源構成比率などはどうなるのかというと、資源エネルギー庁の出している「エネルギー基本計画」によると、2030年での電源構成比について、パリ協定実行のため原子力発電の依存を20~22%へ高めるとしている。
また、再生可能エネルギーの利用も増やすことで、排ガスゼロ発電が50%近くになる想定だということです。(Auto Messe Webより引用)

第5次エネルギー基本計画(資源エネルギー庁のpdfファイルへ

まとめ

気候変動の原因が二酸化炭素などの温室効果ガスであると言われており、大量にCO2を排出している自動車がその大きな原因の1つだとされている。
しかし、自動車が現代社会に欠かせない存在となっているので使わないわけにはいかない。
そこで、燃費のいいハイブリッド車や、ガソリンを使わない電気自動車(EV)が開発されたわけであり、電気自動車ブームは世界中で巻き起こっているが電気自動車においてはCO2排出量の少ない電源(発電方法)の推進が必要である。
電気自動車は走行中にはCO2を排出しないが、走るための電気は発電所で作られているのであり、その発電方法によってはCO2の排出量が変わってくる。
現状の電源構成比(発電方法の比率)ではあまり環境にやさしいとは言えず、ハイブリッド車より若干優しいかなというレベルのようだ。
今後再生可能エネルギーなどのCO2を排出しない発電の割合が増えてくればもっと環境にやさしくなっていくであろう。

目の前で静かに走っている電気自動車だけを見れば、「環境にやさしい」と思いがちだが、現状では環境に与える負担はまだまだ大きいと言える。(電気を消費することで間接的にCO2を排出していることになる)
今後は国のエネルギー計画推進に期待するところが大きいかと思うのである。

ただ、現在クルマを運転している我々としては、EVであれHVやガソリン車であれ、安全を確保した上で、常に省エネ運転に徹して地球温暖化を少しでも抑制する必要があるのではないだろうか?

良かったら以下の記事もお読みくださいね
「世界でガソリン車とディーゼル車の販売禁止!? 日本はどうなる?」

 

最後までお読みいただき有難うございました。

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